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【行政書士】40字記述式問題の勉強法|択一過去問を活用!

こんにちは、行政書士試験合格者のトミーです。

今回は、私が行政書士合格に向けて行った40字記述式問題対策の勉強法について紹介したいと思います。

私は、行政書士試験を4回受験しましたが、独学で受験した1回目と2回目は択一が基準点をクリアできず採点すらしてもらえませんでした。

3回目の受験で記述式を採点してもらえるように・・・ただ、総合点が合格基準に届かず不合格。
そして、4回目の受験でようやく基準点をクリアして合格!!

4回目の受験時に確実に「択一の過去問」で解いた問題が出題され、「オッ!」と思った覚えがあります。
そんな記憶に残る私の40字記述式対策勉強法を紹介したいと思います。

目次

行政書士試験の40字記述式の重要性

行政書士試験は択一式と多肢選択式、そして記述式に分かれます。
その中で記述式は全60問3問で点数としては300満点中の60点という配点になっています。

R4年度行政書士試験の配点

スクロールできます
試験科目出 題 形 式出題数満 点


法 令 等

択 一 式
5肢択一式40160
多肢選択式324
記  述  式360
46244
一般知識等択 一 式5肢択一式1456
合  計60300

そして、法令等科目と一般知識科目の択一式の得点が一定以上に達していないと、記述式の採点はしてもらえません。

R4年合格基準点

  1. 行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、122点以上である者
  2. 行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、24点以上である者
  3. 試験全体の得点が、180点以上である者

40字記述式では行政法1問民法2問合計3問出題されます。
3問と言うと少ないように感じるかもしれませんが、配点としては1問20点あります。

つまり、300点満点中の60点記述式となり、全体の5分の1を占めます。
また択一式が1問4点であることを考えると、その15問分の点数に相当することになるため、試験全体に対するウエイトは高いと言わざるを得ません。

行政書士試験の記述式の特性を理解する

資格試験の受験対策として過去問潰しは鉄板です。
勿論、行政書士試験の択一式問題も例外ではありません。
ただ、記述式問題は択一式と違い過去問に頼るのは難しいタイプの問題になります。

現行の記述式は2006年(H18年)からの出題形態で、行政法で16問、2問出題の民法でも32問しか過去問はありません。
そして、これら過去問の解答例を丸暗記したところで、得点に結びつくことはないでしょう。

まずはこの記述式の問題でどのような解答を求められているのかを理解しましょう。

記述式に求められる能力/解答の「要素」

記述式では、解答例や模範解答のような文書を一言一句違わぬように記載しなければ得点にならないというものではありません。

行政書士試験に必要な「条文」「判例」「学説」等の知識として学習した項目から解答に必要な「要素」を見つけ出し、それらの「要素」となる「キーワード」を組みあわせて40文字前後で文章として解答することが必要になります。

しかし、ここに挙げた「条文」「判例」「学説」等の知識については、記述式のために特別に覚えなければならない知識があるわけではなく、択一式を解くために覚えた知識が重要になるのです。
暗記による知識量だけではなく、解答文をつくるプロセス、つまり「要素となるキーワードを組み立てる」能力を身につけることが大切になります。

「要素となるキーワードを組み立てる能力」と言うと難しそうに感じる方もいるかもしれませんが、実際には択一式の過去問を解いた後の一工夫だけで特別な作文力等は必要ないと私は思っています。

択一式過去問の解説を利用

記述式の対策として陥りやすいのは、予想問題集や過去問集を使って、ひたすら模範解答の丸暗記に終始してしまうケースです。

この方法での勉強は、なんとなく勉強した気にはなれますが、試験で全く同じ問題が出題されない限り、学習効果が低い対策法といえるでしょう。

模範解答の丸暗記では、解答を記述するための要素、キーワードの組み立てのトレーニングをしていませんので、初見の問題に対応しなければならない本番では全く役に立ちません。

実際にどのような問題が出てきたのか、どのような問い方をされるかを知る上で記述式の過去問集や予想問題集を読むことは無駄ではないですが、私は一読する程度でもよいと思います。
実際に利用した通信講座の問題集と市販の問題集の2冊が手元にありましたが、どちらも一通り読んだ程度でした。

そこで私の勉強法としては、択一式の過去問を活用する方法です。

【記述式対策】私の勉強法

現行の記述式はH18年度の試験からスタートになります。
実際に過去問を見たところで行政法で17問、民法でも34問。
さらに法改正等で対応しなくなったものもありますので、その数はさらに少なくなります。
そう考えれば、択一式と異なり、出題される問題は全てが初見になることは間違いありません。
そんな中、最も有効なのは「択一式の過去問」です。

択一式の過去問を利用

当然、皆さんも択一式の対策として過去問集を活用すると思います。
そして、択一式の過去問を記述式を意識して学習することで、その理解を深めると共に記述式の対策にもなるのです。

実際にどのように学習を進めたかというと、

  1. 択一式を解き、解説を読む
  2. 解説からその問いの要素を探す
  3. 解説を参考に40字の解答を構成する

という流れになります。

実際に択一の過去問から出題

私が合格したH27年の記述式の民法は過去に択一式で出題された内容でした。

H27-46
 AとBは婚姻し、3年後にBが懐胎したが、そのころから両者は不仲となり別居状態となり、その後にCが出生した。Bは、AにCの出生を知らせるとともに、Aとの婚姻関係を解消したいこと、Cの親権者にはBがなること、およびAはCの養育費としてBに対し毎月20万円をしはらうことを求め、Aもこれらを了承して協議離婚が成立した。ところが離婚後、Aは、Bが別居を始める前からほかの男性と交際していたことを知り、Cが自分の子であることに疑いを持った。
 このような事情において、Cが自分の子でないことを確認するため、Aは誰を相手として、いつまでに、どのような手続きを取るべきか。民法の規定及び判例に照らし、取るべき法的手段の内容を40字程度で記述しなさい。

まず、問題文からBは婚姻期間中に懐胎していることが分かります。
このことから、妻が婚姻中に懐胎した子Cは、夫Aの子と推定されます(民法772条)。
そして、この場合、夫Aは、子Cが嫡出であることを否認することができます(民法774条)。
この否認権は、子C又は親権を行う母Bに対する嫡出否認の訴えによります(民法775条)。
つまり、Cが自分Aの子でないことを確認するためには「嫡出否認の訴え」を提起するべきで、「相手は、BまたはC」とすべきであることが分かります。
そして、この嫡出否認の訴えは、夫Aが子Cの出生を知った時から1年以内に提起しなければなりません(民法777条)。

そして、その解答は「Aは誰を相手として、いつまでに、どのような手続きを取るべきか」に沿って記述することになります。

以上のことから解答例は次のようになります。

C又はBを相手として、Cの出生を知った時から1年以内嫡出否認の訴えを提起するべき。(42字)

記述式のこの問題を見たとき、正直「親族法から出るんだ!」と驚きつつも、コレ択一の過去問で見たぞと思いました。

それが、次の択一式の過去問です。

択一式を解き、解説を読む

H22-34
A男と、B女が出産したCとの関係に関する次の記述のうち、民法の規定または判例に照らし、誤っているものはどれか。

  1. AとBの内縁関係の継続中にBがCを出産し、AによってCを嫡出子とする出生届がなされた場合において、誤ってこれが受理されたときは、この届出により認知としての効力が生ずる。
  2. Bは、Aとの内縁関係の継続中に懐胎し、その後、Aと適法に婚姻をし、婚姻成立後150日を経てCを出産した場合において、AがCとの間に父子関係が存在しないことを争うには、嫡出否認の訴えではなく、親子関係不存在確認の訴えによらなければならない。
  3. Bは、Aと離婚した後250日を経てCを出産したが、Aは、離婚の1年以上前から刑務所に収容されていた場合において、Aは、Cとの父子関係を争うためには嫡出否認の訴えによらなければならない。
  4. Aによる嫡出否認の訴えは、AがCの出生を知った時から1年以内に提起しなければならないが、Aが成年被後見人である場合には、この期間は後見開始の審判の取消しがあった後にAがCの出生を知った時から起算する。
  5. Aが嫡出否認の訴えを提起する場合において、Cが幼少で意思能力を有せず、かつ、Bが既に死亡しているときには、Cの未成年後見人がいるときであっても、家庭裁判所が選任した特別代理人を相手方とする。

この択一式問題の解答、つまり誤っている肢は「3」になります。
設問のケースで「推定の及ばない嫡出子」の父子関係を争う場合には「親子関係不存在確認の訴え」によります(最判昭44.5.29)。

この問題は択一式の過去問を解いている時から、嫡出性の違いによる訴訟の違いがあり、覚えるのになかなか苦労をしたので印象に残っていた問題でした。

ただ、ここまでは誰誰もが普通にやることだと思います。

択一問題の解説文を40字で考える

普通に択一過去問を解いて、解説文の範囲のみで理解をしただけでは対応が難しいかも知れませんが、記述式を意識した学習にすることで、択一対策としての知識も広がり、記述式の対策にもなりました。

この問題文、解説から要素となるキーワードを探します。
要素としては嫡出性、訴訟、提起期間とその権利者と考えられます。

そしてその「キーワード」をまとめると以下の一覧になります。

スクロールできます
嫡出性推定される
嫡出子
推定の及ばない
嫡出子
推定されない
嫡出子
二重の推定が
及ぶ嫡出子
訴訟嫡出否認の訴え
(§775条)
親子関係不存在
確認の訴え
親子関係不存在
確認の訴え
父を定める訴え
(§773条)
提起期間夫が子の出生を
知った時から
一年以内

(§777条)
制限はない
訴訟権原則として
夫のみ
(§774条)
人事訴訟法に定めがある

この内容が把握できていれば、H27-46の記述式問題は解答を記述することができます。
この表が既に記述式の解答になっているからです。

設問がどのケースに該当するかを判断する必要はありますが、この問題を上記のように一覧表にするとある特徴が見えてきます。

「推定される嫡出子」以外は、提訴期間に制限がなく、訴訟権についても民法ではなく人事訴訟法に定めがあるとされています。
記述式にするとすれば、この「推定される嫡出子」の部分を書かされる!!と、勝手に想定して、この部分を40文字前後でまとめてみるトレーニングをしました。

この作業は、当然この問題に限らず、択一式を解いた後、自分が特に解説の理解等が難しいと感じた問題をあえて選び行います。
こうすることで択一の理解も進み、更に記述式の対策にもなる・・・・ことがあります。

行政書士試験の記述式対策は解答のプロセスを学ぶ

行政書士試験における記述式対策のポイントは、5肢択一式の学習と同様に「条文」「判例」「学説」の意味を理解し、要素となるキーワードを見つけ出せるようにすることです。

この「キーワード」を見つけ出すためには、前述のような、既に問題、解説に行政書士として必要な知識等が盛り込まれた択一式の問題をベースに40字前後での文章をまとめられるようにトレーニングすることで記述式の解答力を十分に身につけることができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?ここまで私が記述式対策で行った、択一式過去問の活用について説明させていただきました。

記述式は、ある程度学習を進め知識をつけないと、要素となるキーワードを見つけ出すことは難しいかも知れません。
ただ記述式には部分点があります。完全な解答文を書けなくても、その時考えうるキーワードを入れ込み近いことを書ければ部分点をもらえる可能性があります。
実際に私の記述式の点数も22点(恥ずかしながら低めですが・・・・)と明らかに部分点が入っていましたので・・・・・。
そのため、正確に暗記しておらず自信が無いことでも、できる限り考えうるキーワードなど記入するようにしましょう。

ここで紹介した方法が万人の方に合うとは限りませんが、私が実践し合格にこぎつけた学習法のため、皆様の合格のためのなにかのヒント、助けになれば幸いです。

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